マハラノビス・タグチ(MT)システム

先日の日刊工業新聞においてアルプス電気の品質工学への取り組みが紹介されていました。
表題のMTシステムを取り入れて、不良品流出を撲滅するといった内容でした。
私の不勉強で「MTシステム」についてはほとんど知らなかったのですが、その考え方があまりにFlexInspectorの思想に近くて(逆の表現の方が正しい?)、興味を引きました。早速、資料を入手し、何が同じで何が違うのかを調べてみました。
結局のところ画像の場合、あまりにデータ量が多く(画像から特徴量を抽出しそれに適用するならば不可能ではない。が、無理に特徴量を抽出しないのがFI流。)、まともには適用できないことがわかりました。
しかしながら、「良品」を均一集団(単位空間)として定義し、そこからの距離が大きくなれば異常とする考え方はほぼ同じとも考えられ、MTシステムで得られる利点の多くはFlexInspectorの利点と重なります。偶然とはいえ見事です。
あらためて思ったのは、現在のマシンビジョン業界ってあまり品質工学と接点が無いってこと。たぶんこのあたりがメーカーとユーザーの間の深い深い溝になっているような気がしてなりません。なんとなく感じていた「品質を語る担当者ほどFlexInspectorを評価していただいている」というのは、このあたりに起因するものでないかと思えてきました。

マハラノビス・タグチ(MT)システム” に対して3件のコメントがあります。

  1. dylan より:

    トヨタ生産方式の大野先生の遺志を引き継ぎ、カイゼンの鬼として知られる山田日登志先生から学ぶことは非常に多い。
    「製造業があたかも”ゴミをつくる”ために存在するかのようでは、ものづくりの場が働く意欲も希望もない職場になって
     ゆくのは当然」
    「ありあまる工業製品が、環境を破壊しはじめ、エネルギー問題をひきおこし、地球は人も自然も生きられなくなりつつ
     ある…」
    メーカーが良品の製造販売を企画し、良品のみを製造販売することは、人・自然環境への貢献なのです。
    こういった考え方とFIの世界観に同質なものを感じています。

  2. ゾロ より:

    MTS法の原理とvariationは同じ考えかただと思います.
     当方では,MTS法を欠陥の分類に使ったり,官能評価を定量化することに使ったりしていました.ただ,パターン認識という分野で考えればMTS法はその中の一手法にしか過ぎないので,現在ではアプリケーションにあったパターン認識法を使っています.
     で,MTS法に戻りますが,画像から求めた特徴量を使って分類するのが一般的ですが,MTS法の適用事例ではグレー値を直接使って文字認識や欠陥検出を行っている例もあります.ただこれは田口メソッドと同じで,良く判らないから力技でやってしまえという発想に近く,たまたま上手くいっただけで理論も減ったくれも無いと思います.
     FlexInspectorといっても,最終的に検出したものが,ゴミなのか欠陥なのかを決めるしきい値というのが在ると思いますが,この判別をもっと高度にしたいということは無いでしょうか.
     どのような画像処理をしようと,最終的には少なくともそれがOKなのかNGなのかを白黒つけなくてはいけないと思うのですが,そのときにパターン認識技術というのは必要になると思うのですがいかがでしょうか.

  3. yamada より:

    コメントありがとうございます。
    私個人的には、マシンビジョンの領域には「パターン認識」(=画像理解)が必要なものと必要でないものがあると考えています。寸法などの特徴量を画像から取り出すのも一種のパターン認識ではないかと考えます。一つの画像の中から様々な手法を用いて情報を取り出すこと自体は非常に意義有る学問だとも考えています。
    問題にしたいのは、目視検査の現場を見ているともっと単純な領域が存在し「良品と同じならOK、そうでなければNG。NGの種別なんてどうでもいい。」といった具合です。FlexInspectorでは「設定をできるだけ簡単にする」という基本方針のため「NG種別」は切り捨ててあります。そのかわりシンプルさと汎用性を持たせたわけです。(FIではゴミでも欠陥でも良品と異なればNGとして扱います。面積しきい値のような機能はありますので単純な大きさによる線引きはできますが、高度な分類機能は全くありません。)
    ただご理解いただきたいのは、FlexInspectorは何でも検査できるわけでは無いということで、良品が均一であることが必要です。要は「製品次第」であり実稼働に入らないとどういう結果が出るかがわからないという問題があります。ここが最大の弱点だと認識しています。
    うまくいかないものは、それこそ「パターン認識」を行う必要があります。その領域に入ると、今まで同様、一品一様から抜けられないと思います。

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