画像処理による外観検査が難しい訳

最近訪問したユーザーさまで伺った話。

  • 作るのは自動化できており、材料だけ投入しておけば、どんどんできる。しかし検査については「1個いくら」でコストがかかるためたいへん。生産量が増えると・・・。
  • さまざまなメーカーの画像処理装置を投入してみた。が、運用できているのは「位置決め」と「(一部分の)寸法計測」のみ。「外観検査」は結局流出してしまうので、目視で対応している。

これらの話は「ごく一部」ではなく、私がお話を伺ったほとんどの現場が同様で、製造業における部品コストの大きな部分を「検査工数」が占めていると思われます。

某メーカーが「画像処理25年」と謳っていますが、ほんとうに価値のあるものであるならばもっと普及していてもいいはず。ところが実際はそうではありません。「外観検査」はそれほど甘くない。

比較的うまくいきやすい「位置決め」「寸法計測」と、「外観検査」の最大の違いは「すべてを見ないといけない」という点。たとえ仕様書にあがっていない「想定外の欠陥」でも検出できなければ「流出」です。外観検査では「検査項目」なんてものは意味を成さないのです。「すべて」を検査しなければならないのです。

それを「検査項目ごとに」「照明はこれを使って」「アルゴリズムはこう作って」「許容値はここまでで」とやるのが定石とされてきたからうまくいかない。手間ばっかりかかった上に流出する。

結局、外観検査は「良品と同じならOK、良品と違うところがあればNG」に尽きると思います。
この考え方で

  1. 厳しく検査して「良品」だけを選別する。これはそのまま出荷。
  2. 「良品」とされなかった分だけを目視にて検査し、人の判断で「良品としてよいもの」を選別する。

しか、品質確保と検査工数削減を両立させる方法はないと思います。

「良品だけ」が選別できない、選別できたとしてもあまりに少ないならば、外観検査の自動化にはトライしないほうが無難です。製品のバラツキが大きいともいえるため、製造工程の改善にコストをかけるほうが有意義だと思います。

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