オムロンとMVTecが提携

本日の日刊工業新聞一面に上記の記事が出ていました。
ちょっと停滞気味のこの業界では、久しぶりのビッグトピックじゃないかと思います。

オムロンは、キーエンスと並ぶ、「画像センサ」業界の2強の一角。
片やMVTecは「カスタム画像処理検査装置」を主たるターゲットとしている高機能画像処理ライブラリHALCONの開発元。(FlexInspectorはHALCONを用いています)
画像業界の「2極の雄の提携」ということで、今後、かなりの影響が出ると予想します。

が一方で、そう話は簡単じゃないと。

商売としての「画像センサ」の魅力は、「完成品」であるが故、事前にユーザー評価を行っていただくことができ、また「できないことはできない」と線引きすることができる点であると考えます。導入効果が保証しきれない画像検査という商売では「これしかない」方法だと思います。実際にも最大勢力は、これを具現化したキーエンスであることは疑いないところ。

かたや「カスタム画像処理検査装置」の最大の問題は、「作ってみないとわからない」点であり、「作るためには相当なコストがかかる」点。さらに最強の画像処理ライブラリとも言われる「HALCON」を担ぐと「できないこと」のラインが確実に上ブレし、手離れが一層悪くなることは自らの経験で知っています。

このあたりは、コグネックスの戦略の変遷を見れば明らかです。

今後、オムロンがどのように展開していくのか詳細は不明ですが、オムロンの画像センサの性能が一段上がるのは間違いないと思います。技術レベルとして確実に「高性能画像処理検査装置」の領域に割って入ってくるでしょう。それもかなり安価で。

ただ大バクチ。1000台売ろうと思うと、1000台分仕様をまとめて作って、評価して、検証して・・・。
新聞では「SIを通じて販売」ってなってますが、画像ができるSIはもうそんなに残っていない。
下手をすると「動かない検査装置」を大量に生み出し、「負の遺産」を積み上げることになりかねない。
茨の道に自ら踏み込んだのかも・・・。

個人的には、従来の画像センサの機能を、こっそりHALCONを用いてリファインして、「最強の画像センサ」として完成品販売するにとどめておいたほうが良かったんじゃないかと思います。

当方としては、

  • 「HALCONが動作するFA向けプラットホーム」がオムロンから提供されるという点。
  • 最も恐れていた「キーエンスがHALCONを積んだ画像センサを販売」という最大懸念が無くなった点。
  • HALCONが高性能である点をアピールしてもらえる点。

で朗報かなと思っています。

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