外観検査装置の難しさ
自動外観検査のニーズは非常に高く、さまざまなメーカーから外観検査装置が販売されています。
しかしビジネス面であまりうまくいっているという話は聞きません。なぜでしょうか。
理由の一つに、外観検査は主観がすべてであり、それを自動化して標準装置として販売しようとすること自体に大きな無理があると思います。
まったく同じ装置を作ったとしても、納入先によっては要求するものが異なります。それどころか納入先においても、品質管理部門と製造部門は要求するものが異なります。前者は安全側に考えますし、後者は生産効率を重視します。ほんとうに考え方一つで評価が変わります。
さらに悪いことに十分な実機検証が行われないままに導入が決まり、現場に入って初めて実製品との相性がわかるという状況。「こんなはずでは」が積み上がるのはいつものことです。検収が遅れるなんて当たり前。上がらないこともありうる話。「出入り禁止になった」という話も。
ビジネス面から考えると手を出さない方が・・・。
ただ一つ方法があるとするなら、装置メーカーは成約前に十分な実機評価を行える環境を作ること。ユーザーは操作面、検出能力、自社製品との相性、全ての面の検証を行うこと。
ビジネスとして「売らなければならない」状況にすることはあまりに危険。
「売れても売れなくてもよい。ベストを尽くして冷静にユーザーの判断を仰ぐ。」
そういうスタンスでないと外観検査装置は難しいと思います。
一番辛いのは「テーマを与えられた生産技術担当者」ではないでしょうか。
いろんなものを見てきて、自動外観検査にむくもの、むかないものがあります。頑張ってもできないものも少なくありません。「テーマが先にありき」ではやはり難しいです。