もっと簡単に、もっといろいろなものが検査できるように、AI(ディープラーニング)にも取り組んでいます。
ディープラーニングを利用した外観検査は各社より提供されてきていますが「やってみないとわからない」「やってみるにも費用がかかる」などの問題があり、採用する側、提供する側ともリスクが高いという問題がありました。
そのような中で、ドイツのMVTec社が”MVTec Deep Learning Tool"をリリースしました。このツールは無料で配布され、ディープラーニングを用いた外観検査の検出能力をユーザーで十分に評価できる環境を提供します。当社におきましてもさまざまな画像データを用いて評価を行っていますが、かなり優秀であると考えます。
MVTec Deep Learning Toolで生成されるDeep Leaningモデルは、HALCONのアプリケーションで使用することができます。弊社のFIS-200DLもHALCONのアプリケーションであり、MVTec Deep Learning Toolと連携する機能を有しています。
MVTec Deep Learning Toolとは
MVTec Deep Learning Toolとは、ドイツのMVTec社が提供する無料の画像処理用のDeep Learningの評価ツールです。
Deep Learningを用いた画像処理は、画像分類、アノマリー検出、物体検出、セマンティックセグメンテーションなどが想定されます。特に外観検査用途では、良品画像を学習させるだけで良否判定が可能になるアノマリー検出、欠陥を学習させることにより画像から欠陥を抽出し”欠陥があればNG”を実現するセマンティックセグメンテーションが有効だと考えられます。
MVTec Deep Learning Toolでは、アノマリー検出については学習および性能評価までの全機能、セマンティックセグメンテーションについてはラベリング(アノテーション)までが可能(学習および性能評価はできない)となっています。外観検査の多くは、良品がたくさん存在する環境であると考えられます。よってアノマリー検出が全機能使えることが重要です。
ここではアノマリー検出について、操作手順を紹介します。
MVTec Deep Learning Toolの操作手順
トレーニングの準備
トレーニングで使用する画像は、あらかじめOK、NGに分けておきます。OK画像は30枚程度でも動作します。
NGの中でも欠陥の種類ごと(ワレ、カケ、色異常など)に分類し、フォルダ分けします。
※学習するためにはOK画像だけでも問題ありませんが、性能評価のためにNG画像も準備しておくことを推奨します。
新規プロジェクトを作成
プロジェクトタブから新規プロジェクトを作成します。
ディープラーニング手法はアノマリー検出を選択します。
画像のインポートおよびラベル付け
ギャラリータブの画像フォルダの追加から、画像を追加していきます。
フォルダ名がそのままラベルに適用されます。
初回のフォルダ指定はクラスタイプが"良品"になり、2回目以降のフォルダ指定はクラスタイプが"異常"になります。
分割の作成
分割タブにてトレーニング用と検証用とテスト用に画像を分割します。
トレーニング画像で学習を行い、検証画像でトレーニング結果を評価し、学習にフィードバック。これを繰り返していくことで学習が進んでいきます。テスト画像は、この”トレーニング”に関わらない画像であり、トレーニングで得られたディープラーニングモデルのテストに用いる画像になります。
初期値で、良品画像はトレーニング:検証:テスト=70%:15%:15%に分割、異常画像は検証画像に100%割り当てられます。
モデルを作成・トレーニング
トレーニングタブにてモデルを作成し、トレーニングを開始します。
トレーニング時間はインポートされた画像枚数によって異なり、1時間程度が目安。多い場合は6時間以上かかります。
トレーニングを一時停止させ、途中段階でも次の”判定”手順に進むことが可能です。わずか数分のトレーニングでも十分な検出能力をもつことも少なくありません。
判定
トレーニング完了後は判定タブにて結果を確認できます。
この例では、画像の枚数が少なかったこともありますが、概ね正しく判定できています。
MVTec Deep Learning Toolのレポートの見方
MVTec Deep Learning Toolでは、トレーニング・検証結果をhtml形式のレポートに残すことができます。
レポートは各トレーニングごとに保存できます。
MVTec Deep Learning Toolの実験実例
オービット公式YouTubeにて、MVTec Deep Learning Toolを使用した実験実例を公開しております。
▼一覧はこちら▼