画像検査業界におけるFlexInspectorの意義
FlexInspectorの検査手法は、画像検査業界において大きな変革をもたらすと考えます。
1)「一画素単位の二値化レベル」
低解像度カメラでも30万点存在する画素ごとに上限の明るさ、下限の明るさ(二値化レベル)を持っています。単純な方法ゆえに速度の低下もなく、また明るさに勾配がある対象物、特に成形物などの立体へ画像検査の可能性を拓きました。世界的にも類を見ない方法です。
2)良品のバラツキを統計的に処理
パターンマッチングや差分処理など「良品比較」で問題になるのが「良品のバラツキ」です。これを処理する方法がなければ「良品比較」はうまく機能しません。FlexInspectorでは複数の良品画像を統計処理し「良品のバラツキ」を吸収します。結果的に「良品のバラツキ」にあわせて最適(歩留と検出能力)なレベルに自動チューニングされることになり、「パラメータがほとんど存在しない」画像検査を実現しています。
3)「認識しない」画像検査
今までの画像検査では、画像に対し「どこから」「どのように」「どのような」情報を取り出し(=認識)、「どのようであればよいか」を設定することで実現されています。この方法の問題は
・取り出される情報は単純な「数値」か「文字列」に過ぎなく、元々の画像を代表する「ごく一部」の情報にしか過ぎない。その「ごく一部」の情報で判断できるのかどうか。
・画像全体を判断するためには、上記の設定を無限に繰り返す必要がある。これが「設定の難しさ」「煩雑さ」を生み、さらにいくら設定しても「予期せぬ欠陥に弱い」という問題を解消できない主因です。
など。たしかに「認識」というのは学問としては面白いかもしれません。しかしながら、製品検査の分野においては「良品」が存在し、それと同じであるかどうかを機械的に判断し、良否選別できれば問題ないはずです。きっちり「良品」が定義できない場合は「認識」に頼らざるを得ませんが、経験的には稀ではないでしょうか。
4)現場作業者が「使える」ようにした
今までの画像処理検査は、難しく、煩わしいもので、専任担当者が数時間かかって設定するというものでした。これを根本的な考え方から見直し、使えるものにしました。対象物が変わっても設定手順はいつも同じ。多くのものは数分で稼動状態にすることができます。さらには、良品しか通さない、予期せぬ欠陥に強い、どのように検査しているかが理解できる、普通のパソコンで動作するためコストパフォーマンスが高いなど、数多くの特徴を持ちます。
おそらく今までに存在し販売されている「画像検査システム」も、FlexInspectorを搭載することでより簡単で、精度が高く、低コストで実現することは十分に可能だと思います。さらには今まで存在しなかった分野のシステム構築も可能です。
あと「簡単」で「汎用」であるため、現場の方が「自分たちで使えるところを探す」という動きが始まっています。このやり方は「画像処理検査テーマを失敗させない」最良の方法だと思います。
このような動きが確実に広まってきています。
この動きが加速し始めたとき業界に何をもたらすか怖いところもあります。