自動外観検査の実体
もし私がモノづくりの製造業の経営者だったら・・・
新聞や雑誌などで取り上げられる「自動外観検査装置」の記事を見て、自社の出荷前の外観検査に要している膨大な人件費の削減のために当社も導入しなければ、コスト競争に勝ち抜けないと思うでしょう。あるいは「見逃し」をなくすためにも導入しなければと思うでしょう。
どこかの会社の視察に行って導入済みの検査装置を見てくるかもしれません。あるいは展示会へ出向いて「世の中はこんなに進んでいる」と危機感をもつかもしれません。
そして現場担当者に命令するでしょう。「わが社も直ちに導入しなさい!」と。
そうして予算もついてしまうと、現場の担当者は導入せざるを得なくなります。
その検査装置がどのようなものであっても、使っていかざるを得ません。
「トップの肝入り」ですから、誰も悪い報告は上げられずに・・・
新聞や雑誌の記事は、メーカーの「プレスリリース」に基づいた記事だから・・・
私が見聞きしている範囲では、ガンガン効果をあげている装置って・・・
視察を受け入れる側は、頑張って稼動状態にしますよ。その日だけでも・・・
展示会なんて、どこも都合のいいサンプルを使って無理に立ち上げてるから・・・
自動外観検査はかなり「怪しい」技術であることは間違いありません。
「知能をもったロボットの実現は難しい」とはみんな思っているのに、
「すべての欠陥を100%間違いなく検出すること」が簡単なはずはありません。
そういう目で見て、はじめて実体が見えてきます。
あまりに猛烈なニーズがある技術であるため、実体が見えにくくなっているだけに要注意です。