「品質」を声高に叫んでも
新聞などでものづくりの企業のトップの方々が「注力ポイントは品質」と書かれているのをよく見かけます。見て思うのは「具体的な方策をどのように考えているのだろうか」ということです。
設計で作りこむ品質については様々な方策があるとは思います。が、製造における品質については、ほとんどの場合すでに全数検査になっている以上、「もっとしっかり検査しなさい」という精神論しかないような気がします。たぶん現場を担う方々は困っているのではないかと思います。
でも考え方を変えれば方法はあります。
自動検査機で不良品を選別するのではなく良品を選別すれば良いのです。機械的に「どう見ても良品」だけを選別するのです。
たとえば90%だけ「どう見ても良品」が選別できれば、残りの10%だけ目視検査すればよい。残りの10%も「良品と何か違う」怪しいものの中から良品を選別する作業になります。検査工数が減った上に検査作業が楽になり、かつ安全になります。
またこの論法をインラインで用いれば、製造ラインで発生したわずかな変化を捉え、即時に対策を行うことも可能です。
ただこの考え方は、良品だけを選別する「厳しい」検査を行って始めて成り立ちます。一部分だけ、重欠陥だけを検出するといったレベルでは不可能です。
もう一点注意しないといけないのは、現場レベルで使いこなせる検査装置でないといけません。難しくて使えない=稼動させられないものでは何の効果もありません。
私は「検査装置屋」であり、品質についてはシビアな立場にいると自覚しています。何より不良品流出は恐いですし、次々と検査対象物が増え、また欠陥モードもどんどん増えなどとやっていては身が持ちません。「ものづくりの現場」の方となんら変わることはないのです。