良品のバラツキと検査アルゴリズム
ほとんどの場合、良品のバラツキ具合によって適用可能なアルゴリズムが変わります。
良品のバラツキがほとんど無ければ、撮像した画像はどれもほとんど同じ画像になります。だから良品の画像と較べてやれば欠陥部分を抽出するのは難しい話ではありません。
逆にバラツキが大きくて、同じ画像になることが期待できない場合は、画像から情報を抽出してその情報が正しいかどうかで判断せざるを得ません。たとえば寸法を測ったり、個数を数えたり、文字を読み取ったり。注意しなければならないのは、良品のバラツキを許容して一部の情報だけが正しいかを判断しているに過ぎず、情報化できていないすべてを許容してしまっている点。外観検査としては穴だらけになると考えられます。外観検査にお金をかけるよりも工程改善して良品のバラツキを少なくするほうが有効だと思います。
ちょっと毛色が違うのは、繰り返しパターンなど周辺の状況から推測される「推測良品」との違いを検出する方法。たとえば白紙上の黒点、ガラス板の異物、車のボディの傷・・・。ほとんどの場合、「無地であること」が大前提になりますが、良品を推測しやすい小さな傷を検出することにかけては圧倒的な能力を発揮します。
FlexInspectorでは、順に
- 比較検査
- 測長検査、文字読み取り検査など
- タッチアップ検査
が担います。
一方で市販の画像処理装置の多くは2のみです。製造技術の高まりで、良品のバラツキはほとんどなくなってきている現在、ほんとうに有効な検査手法なのか疑問があります。
FIのユーザーではほとんど2は使われていません。ほとんどが1で終わり、対象物が大きく、シンプルなときに3が適用されるという感じです。
※FlexInspectorの比較検査は、良品のバラツキを吸収させるためにたくさんの良品をサンプリングし統計処理を行って良品の範囲を決定する方法です。これは良品の微妙なバラツキを吸収させる手段であり、良品のバラツキが大きいものに適用すると極めて緩い検査になります。検出能力を上げるためには良品画像のバラツキを抑え込むことが重要になります。